SIG-Indie3 シナリオ作成技法とメイキング

9/12 に行われた研究会のメモ兼レポ。

ノベル系全く興味ないのであまり期待してなかったんだけど、予想に反してかなり面白かった。
ノベル作家じゃなくても結構楽しめたんで、次回ノベルゲーの回にも行くことにしよう。


一応まとめたけど、今回かなり長かったので手落ちが多いかも。

ノベルということもあって会場の雰囲気が普段とは異なるノリで、文章では伝わりにくいかもしれない。
面白く話すことが上手な人が多かったり、スライドを使わない人も何人か居たりと、普段のSIG とはずいぶん違う印象を受けた。
学生も3,4割いて、20〜25代も今までのSig-Indie と比べるとかなり多い。ノベルゲー業界は若者が多くてうらやましいな。

はじめに

  • 自由で活発に議論しましょう
    • 各発表者の発言の責任は発言者にある
    • 発言内容は「発表者の意見」であり、この会の公式見解でもなんでもない
    • IGDA日本は学術団体でも、特に公的な権威がある団体でもない
    • どう解釈するかは、参加者1人1人にゆだねます

ノベルゲーム作家のキャリアパス

メディア開発綜研 玉川博章氏の講演

  • コミケについて説明。どういうものであるか。大多数は商業志向ではない、など
  • 商業ゲーム(ノベルゲーム・ギャルゲー)
  • 成人向けゲーム
    • 就職先としては、ゲーム会社
    • 同人から商業ゲーム会社への移行も多い
    • 就職ではなく、会社設立も視野に入ってくるだろう
    • 商業活動を支援するベンチャー支援ビジネスも
    • 同人活動の延長線上に指定しやすい
  • ライトノベルの市場
    • 青少年向けの娯楽小説。「オタク」向けにセグメント化
    • アニメ、ゲーム、マンガとのメディアミックスが多い
    • 小説/イラストの形式
    • シリーズ化すれば継続的な発刊が見込める
  • 書籍の収益構造
    • 流通マージン書店20〜25%、取次8%
    • 出版社、人件費、広告費、倉庫費、制作費など。25〜30%
    • 著者への対価・原作への2次使用料。10%全後(7〜15%)
  • 文庫の平均データ
    • 新刊平均発行部数 15000/1点
    • 価格平均:約600円
    • 返品率:約40%
  • 最初から文庫用に書いてもらって、売れれば次また書いてもらう、というのが育成の方向。
  • 編集者の存在
    • 最初の読者であり、作家のサポートをし、商品として成り立たせるのが仕事
  • 商業にない同人ならではの特徴
    • 同人:自主制作。自由度大
    • とはいえ、同人ゲームサークルは複数人による共同作業
    • 個々人が好き勝手できるわけではない。
    • 誰がイニシアティブをとり、どう組織化するのか?
  • 同人環境が整備されている
    • 商業に対し、障壁となっていたインフラ(流通・製造)の差が減少
    • 即売会の参加者と直接会話する楽しさ
  • 質問:コミケ参加者も年々増えているし、今後、企業同人という形でやっていく人が増えていくと思う。同人単体として見たキャリアパスについてどう思うか?
    • ありだと思う。
  • 質問:ダウンロード販売の市場規模は?
    • データを持ち合わせてないので答えづらいが、ここ2年ほど伸びている。

商業と同人における制作スタンスの違い。同人ソフトで利益を出すことは可能なのか?

七転び八転がり 飯島多紀哉氏の講演。
http://takiya.jp/78/

  • 同人は儲けは度外視で、自分のやりたいことをやれば良いと言う人も多いだろう。でもあえて、同人で金を稼ぎたいという人はいる?
    • 4割ほど挙手
  • その業界を活性化させようと思ったら、儲けなければならない。その業界で設ける人が出て初めて誰も注目しない
  • ユーザーとして同人業界を活性化させたければ、買って下さい
  • 正直、商業は売れてない。コンシューマーはボロボロ
  • モンハンあたりまでは、キラーソフトが出れば業界は喜んだ。「ついでに○○も買おう」という流れがあったから
  • しかし今回ドラクエが売れても、それ以外が全く売れなかった。最近のユーザーは、自分の好きなもの以外全く買ってくれない
  • しかもドラクエは中古にほとんど流れなかったため、皆新品で買った。他のソフトはますます売れない
  • DSでは、1000本売れないタイトルは山のようにある
  • DSは最低ロットが5000本。5000本分は最低でも任天堂に金を払わなくてはならない
  • 正直、同人の方が利益は出しやすい
  • 海外行ったぜ!とか、外車買ったぜ!という話はほとんど見かけない
  • マスターアップしたら温泉に行く、みたいな地味な話しか聞かない
  • なぜか。俺金儲けしたぜ!と言ったら、皆が買ってくれなくなるんじゃないかと恐れている
  • 売れてるものほど、みんな絶対買わなきゃダメ
  • 上が売れれば売れるほど下が続き、業界が活性化するから
  • この業界は、辛いこと言うのが好き。1ヶ月家に帰ってないとか、毎日オリジン弁当だとか
  • 誰がそんな業界目指したいと思う?
どうすれば売れるゲームを作れるか
  • 自分の作りたいゲームを作れ
    • 商業に行ったら、自分の作りたいゲームは絶対に作れない
    • 最初の3年は、人に言われたことに対してうなずいているだけ
  • 「人に遊んで貰う」ということを考えて作る
  • 人に喜んで貰うためには、人の意見には決して従うな
    • 某匿名掲示板で「もっとこうした方が良い」という意見がある。じゃあそうしよう! これは絶対ダメ
  • クリエイターとして生きていくなら、自分らしさを大切に
商業と同人の違い、同人
  • コストが少ない
    • 同人で営業部隊を持っている人はほとんど居ない
    • 商業の場合、天引きされる税金も考慮した給料を払わなければならない
    • 同人は、コストが目に見えやすい
  • 商業のメリット
    • 商業は、明るい、クリーンなイメージ
    • 同人は、知らない人にとっては、ダークな怪しいイメージ。マイナー
    • 同人はマイナー。商業になれないから同人でやっているんだろ、という偏見も結構ある
    • 同人は、商業と比べて他者の情報がクローズな傾向がある
  • 同人のメリット
  • 商業は、間に色々な人が入るので、発行までの時間が長い
  • 同人はバグがあっても許してくれるからいい
  • 同人は、商業と比べると失敗したときの赤字が少ない
    • 「商業では、数字3文字のアドベンチャーが話題でしたよね。実際にあのゲームは儲かったのか?私は何も言いません。」
  • 2,3ヶ月で1本作るくらいの気持ちで居た方が、成功すると思う
  • 自分のできるパートを、明確に理解しておく。できるパートには責任を持つ
  • 分からないこと、理解できないことには絶対に手を出さない
金銭関係
  • ここをしっかり決めておかないと、売れた場合に絶対失敗する
  • 制作物の権利関係を明確に
  • 誰が一番上なのかなど、立場関係も
    • リーダーとなる人物が、全て経費を出すべき
  • 売れなかった場合は、傷をなめ合うから皆仲が良い。でも売れたら豹変する
  • 腕のある人間より、気心の知れた気の合う人間とまず作るべき。見知らぬ人に外注するのは経験を積んでから
  • 利益を出すためにどうするか
    • 日頃からコスト計算を怠らない
    • 採算分岐点をきちんと割り出す。何本売れたら利益を出せるか
  • 同人ソフトというと、まずコミケを考えるかも知れないが、自分達にとってコミケはどうでも良い
    • 自分達は儲かっているが、コミケでは2,300本売れれば良い方
    • 信販売だけで、毎月1000本以上を発送している
    • 今年の5月からは、通販専門の部署を作って通販だけやる人間を置いた。昨年末にゲームを出したら通販が10倍になったのが理由
      • 理由はわからないが、「まあいいや」と喜んでおく。良いことは深く考えない
  • 通販コスト
    • カラーミーというところでやっているが、数千円
    • ヤフオクみたいなもの。注文が来たら、あとは注文者と自分達の問題。カラーミーは関知しない
    • 中野ブロードウェイでDVD売る店を出してみたことがあるが、そこは家賃だけで数十万かかった
    • 最近代引きを始めてみた。40〜50% は代引きで購入するユーザー。今後はクレジットも始めようと思う
    • クロネコや佐川と交渉するときなどは、口の上手い人間を使うか自分が交渉上手になるといい

ライトノベル作家が体験した、ノベルゲームの制作方法

TRiNE 七月隆文氏の講演
http://trine.blog19.fc2.com/

制作の流れ
  • 制作初期
    • プロットを作る(全ルート分)
    • シナリオを書く(最初からスクリプトで打ち込む)
    • ネットで拾った仮の背景画像などをとりあえず使用
    • 音楽も同時進行で作っていく
    • 最初は、趣味でつくっておいたストック音楽をあてはめた
    • そうでないものも、ほぼシナリオと同時進行で、シーンに合わせて作っていく
    • この時点では、立ち絵なし
    • ただ、表情指定はスクリプトに「;」の注釈で入れている
    • 立ち絵の変化をイメージしながら、シナリオを書いていく
    • この段階では、サウンドノベルとしてプレイ可能な段階
  • 体験版制作にあたって
    • 背景ロケと、画像加工
      • PhotoShopを使用すれば比較的簡単に出来る
      • 三脚の有無で、構図の座り方が全く違うので三脚は買うべき
    • 立ち絵の制作
    • イベント絵の作成
    • クライマックスでは、シーンの流れに曲の展開を合わせていく、映画的手法を用いている
1人で作るメリット・デメリット
  • メリット
    • 開発費が安い
    • 自分の意見が全て通る
    • 「原画に逃げられた」とかがない
  • デメリット
    • 到達できるクオリティに限界がある
キャラの立て方
  • ケース1.周祈トエル
    • 日本語しか話せない外人の女の子って面白いかも ← トリガー。引き金
    • 英語で話しかけられて「に、日本語でお願いします・・・」って言ったら萌えるんじゃね?
    • 清楚系かな?と考えていたら、「素敵でいらっしゃいます!」というフレーズがでてきた
    • 結果、天然(残念)な女の子に
  • トリガーから、妄想をふくらませていく
  • 口調を決める
  • ケース2.美ノ里 夕凪
    • いとこのお姉ちゃんっていいよね! ← トリガー
    • 導入の説明もあるし、狂言回しがほしい。 ← ナビゲータの設置
    • 狂言回しなら、サクサク話すキャラがいい。 ← 役割からの、性格設定
  • ケース3.卯市 灯乃璃
    • 音楽が先行。
    • 曲によってキャラクターとシナリオが作られたゲームならではのケース
  • こんな企画商業では絶対に通らないが、同人なら自分のやりたいようにできる
  • 自分が30数年生きてきた集大成として、このゲームを作ってみた
  • 質問:ストーリーの組立方は?
    • キャラクターから作る
    • 人それぞれで、キャラが先行する場合もあれば、ストーリーが先行する場合も
  • 質問:スケジュールについて
    • やろうと思えば年4冊書けるのだが、編集者に対して「年3冊」と言って、あまった時間に同人の作業をしていた
    • 年3冊はラノベ作家として平均的な速度
  • 質問:なぜ作ろうと思ったか?←あいまい
    • コミケにはほとんど行ったことはないが、ひぐらし月姫は知っていた。元々ゲームを作りたくて、ゲーム業界に行こうとしたこともある
    • 昔は個人がゲームを作るのが夢物語だったのが、今はすごく環境が整備されている
  • 質問:一番苦労した点は?
    • 背景撮影。学校などが非常に難しかった。コネがないと厳しいのでは?
    • ちまたで聞く、体験版を出してから製品版が出ないゲームが多いという話は非常に共感できる
      • 体験版を出してしまうと、達成感を感じてしまう。また、感想が来ないとすごく落ち込む
  • 質問:同人と商業の両方をやっていたわけだが、どんな影響があったか?
    • 良い気分転換になった
    • 悪い影響は特にない

二次元と三次元の境界

ぶらんくのーと ごぉ氏の講演
http://blank-note.sakura.ne.jp/

「シナリオ」の前に「ゲーム」を作ろう
  • そもそもノベルゲームはゲームなのか? →ゲームではない
  • 二次元と三次元を繋ぐ「インターフェース」である
  • シナリオはあくまで1つの要素。絵、音楽と同等の「文字」による演出であり、それ以上でも以下でもない
    • 最近、シナリオ信仰みたいなものが強いが、そんなたいそうな者ではないと思う
  • ただし膨大な量の「文字」を扱うこととなる
    • 10KBは、大体6分ほどで読み進められる分量とされている
  • いきなりシナリオから書くのは無理!
  • 所詮シナリオ、と思っていないとやってられない
  • 最高のキャラクターのために最高のストーリーを。だってギャルゲだし
  • 世界観
    • 境界の向こう側にある
  • キャラクター
    • 境界を乗り越えてくる存在
  • ストーリー
    • キャラクターをユーザーに届ける手段
  • どこから拾ってくるのか?
    • 好きなものはとことんパクる
  • ナデシコ劇場版
    • 空の上にはとらわれの少女がいる
  • ダカーポ
    • 女の戦いすげえ
    • ギャルゲーなのに、女と女の物語になっている
  • ひぐらしの無く頃に
    • プレイを進めていくうちに、女の子ではなく「雛見沢」というもの自体がキャラクターとなっていることに気付いた

など、

  • 挫けそうなとき
    • 二次元と三次元の境界は厚い
    • 「これはただの文字だ...」と思ってしまうともうどうしようもない
    • そのような時は、現実に目を向けてみる。学生なら学校へ、社会人なら会社へ
    • すると、「この世界はつまらない」ということに気付いて2次元に帰ってくるはず
  • 「エロゲを作るしか能のない連中もいる」という文章を見て
    • →「じゃあ作るしかねえ。こいつらを世界で一番愛しているのは俺だ。」
  • 完成したら奇跡
    • →「奇跡起こしてやるよ」
  • お前はマゾだ・・・お前はマゾだ・・・
    • →開眼
  • ひまわりは一日ずつでシナリオを分割し、自作のソフトで進行具合を管理
  • 体験版と未完成版の違い
    • 体験版
    • 宣伝目的と割り切る
    • レスポンスは期待できない
    • 未完成版
    • 出したらそこで試合終了
    • レスポンスが欲しくて出す体験版は、未完成版だと思っている
  • またバグ・誤字が
    • 自分の書いた文章を読み直すのはつらい
  • コミケで出すものが無い
    • 1本作るのに何年もかかるので、ゆるしてください
    • コミケに申し込むときには、なぜか発売日までに完成する気がしてしまう
  • 音楽作れない、背景描けない
    • フリー素材探してみるか
  • そもそもお金がない
    • 秋葉原を歩き回って特売品のDVD ケースを探した思い出
  • シナリオを描く以外にも、同人ゲームを作るにはさまざまなやらなきゃならないことがある
  • 質問:Hシーンについてどう考えているか?
    • 最近一般ゲームが盛り上がっていて、エロゲが不遇ではないかと感じていた
    • エロだけど面白いとい言わせてやりたい。エロには本気
  • 質問:シナリオの作業において、スクリプトはどの段階で埋め込んだか?
    • ルートが完成した時は気分が高まっているので、その勢いでダーっと埋め込んでいった
    • まず音楽を入れて、背景を入れて、立ち絵を入れるという流れ
    • 音楽を入れると、シーンの切れ目が分かりやすい

ABYSS開発の過程に見る同人ゲーム制作について

Festival 櫻龍氏、七海真咲氏の講演
http://festival-soft.com/

  • 面白い物語を作るために必要な要素
  • 物語の明確な目的
    • これが不明瞭だとぐだぐだになりやすい
    • 例えば、ワンピースの「海賊王に俺はなる」など
  • 読み手を引き込む冒頭
    • どんなに面白いお話だったとしても、冒頭が弱いと読んで貰えない
  • 魅力的なキャラクター
    • キャラクターに魅力があると、物語に入り込みやすい
  • 特異なシチュエーション
    • もしこんな状況になったら・・・それだけでワクワクするようなもの
  • 好奇心を刺激する謎
    • 物語の構造(起承転結)以外に謎を提示、発展させ、明らかにすることでメリハリがつく
    • 弁当がなくなってしまった!程度でもよい
  • 謎について
    • 読みすすめることで推理できるようにする
    • 謎と答えをそれぞれ小出しにして、先を読み進めたいと思わせる
    • 的中すると、読み手は優越感を覚える
  • 謎は複数で提示する
    • 1つ目の謎の答えが2つ目の謎に、2つ目の謎の答えが3つ目の謎に・・という風に連鎖させる
  • 面白いかどうかを判断するのは誰?
    • → 読者
  • では、完成するまで判断できないのか?
    • 書いている自分が最初の読者。読者の気持ちになって思考する。非常に大切
長編ゲーム開発におけるマネジメント
  • 規模が大きい=時間がかかる
    • スタッフの状況だって変化する(学生→社会人、社会人→無職など)
    • モチベーションを保ちづらい
  • お金の問題
    • スタッフで賄えない部分は、外注することとなる
  • 早く開発するにはどうすればいいか
    • 開発メンバー同士のやりとりを、いい意味で活性化させる。
    • 効率の良い作業を行う
    • きちんとしたスケジュールを組む
  • ネットで募った場合、大抵の開発メンバーは遠方の人間
    • 直接会えない=ネットで信用を築く必要がある
    • 言いたいことを言いあえる関係でなければ面白いものは作れない
  • 作業に支障のない環境を作る
    • 作業に当たって迷いのない環境
    • こいつに聞けば大丈夫というリーダーを立てる。サブリーダーもいると盤石
    • 開発資料の充実、ToDoリストの充実
    • 情報の共有をしっかり行う
    • 自分が全体のどこを作っているかを把握できると、モチベーションを保ちやすい
  • 効率の良い作業を行うためには
    • 手戻りを避ける
    • 「誰が見ても分かる」「すぐに閲覧できる」状態の、きちんとした資料を作成する
    • 空き時間を作らないようにする
    • 手が空いている場合、仕事を探す(お願いする)
    • 専門外の仕事もお願いする → できることを増やす
    • Todoリストを作成する
  • スケジュールの決め方
  • まず、開発メンバーの作業速度を把握
    • 最初は自己申告。それ意向はデータの積み重ねで判断
  • 作業速度に基づき、二段階でスケジュールを決定する
    • 例「次のイベントまで」と、「毎週の作業」
    • イベントのような不可避の日程があると良い
    • スケジュールの遅れを見込むこと
  • デスマーチはどうすれば回避できるか?
    • シナリオ・グラフィックなど、各々がマジメであれば回避できる
  • 遅れによる被害を出さないために
  • 遅れは絶対に出る
    • 趣味の範囲でやる&本職があるから仕方がない
    • 経験が無い人の場合はなおのこと
  • 遅れに対応するためには
    • ちゃんとした進捗管理
    • ソース管理ツールの導入
    • ToDo リストの作成(グループウェアの導入)
    • 開発メンバー内での情報共有
      • 進捗も含めて全員で情報共有すること
    • 致命的な事態(間に合わなくなること)を防ぐ
  • 遅れが出た場合
  • チームで取り戻せる場合
    • 当該メンバーの作業負荷分散
    • 後工程とのスケジュール調整
  • チームで取り戻せない場合
    • 残り時間と予算を見て、外注の導入を検討する
      • ABYSSの場合には、マスターアップ前に彩色を5人募集した(笑
    • 当該機能のカット(パッチ対応の検討)
  • その他、長編を完成させるには?
    • 分割してリリースする。ただし、それ単体でゲームとして楽しめる範囲で
    • メンバー全員が作業スタッフであること
    • 能力の高いエース、または強い向上心を持った人間がいること
    • 評価を集めるために、広報をしっかりすること
      • やりすぎると某匿名掲示板で叩かれるけど、それも最近快感になってきた(笑
    • ホームページを細かく更新し、常に動いていることをアピールすること
  • 失敗例(旧Festival
    • リーダー(最高責任者)が二重に存在
    • 比重が、馴れ合い > 開発 になってしまっていた
    • スケジュールは大まかなものだけ
    • 全体の進捗をスタッフが見ることができず、ユーザーの感想も伝わってこない
    • 長期開発を許容していた
  • まとめとして
    • 完成を疑わない心があればまず完成する
    • 言い換えれば、疑う余地の無い体制を作るのが同人のマネジメント
  • コミュニケーションがしっかりとれている
  • 何をするか迷わない
  • いつまでにすればいいかわかっている
  • 質問:SVN がどのように進捗管理に役に立ったか?
    • SVN に登録されているものが、完了している作業である
    • 逆に言えば、登録されていなければその作業は終わっていない

現代的ドラマを中心としたノベルゲームの作成と共同作業

atled 制作委員会 樹原新氏の講演
http://www.atled.info/

  • 30歳まで焼き肉屋で雇われ店長をやっていたが、両足骨折で入院
  • その時にバイトの学生に「ポケモンみたいなゲーム持ってきてよ」と言ったらなぜかエロゲを(笑
  • そこからハマって、SSを書いたりしてるうちにゲームを作ることにして東京へ
  • パソパラの200号記念企画で、atledをパソパラの付録として3ヶ月連続で発行することになった
    • 1月ごとにマスターアップが来るので、1部、2部、3部の形で出すことに
    • トラブルを起こして迷惑をかけるわけにはいかないので、50人近くの関わっている人間は、知っている人でほとんど固めた
    • 知らない人でも、かならず会いに行って顔を合わせるようにした。それが信頼というもの
  • ゲームを作り始める際に右も左も分からなかったため、まず飲み会に積極的に参加した
    • 情報を得る
    • 落ち込んだ時に仲間が居るという安心感
    • 自分にできないこともできる人が居る
  • 共同作業の中では、愚痴を言い合える仲というのが大事
  • 良く「一人で作っている」という話があるが、もっと人との関わりの重要さをアピールしても良いのではないか
  • ゲームからアニメ、ゲームから映画はあるが、ゲームから連続ドラマは今のところ無い
  • ドラマにして映える作品にしたかった
  • 制作中は、主人公を堀北真希に置き換えて作っていた
  • 地の文は圧倒的に少なく、ほとんどが会話
  • オートプレイを意識。通常の話し言葉になるようにも意識している
    • 例えば、2人が「おはよう」と言い合うシーンでは、「おはよう」と彼女は言って〜、といった部分は極力省き、話し言葉として違和感のないように「おはよう。」「うん、おはよう」という風に
    • また、松屋などで「今日は牛丼にしようっと♪」などと言う人は現実に居ない
    • でもゲームでは普通にあったりする。そのようなものを極力省いた
    • 声優さんからは「演じやすい」という評価
  • ドラクエの文章を意識している。5、7、5
  • ドラクエ4の5章でカジノで姉妹に会ったときのような快感。離れていた要素同士が繋がった際に人間は快感を得る
  • シナリオライターを目指している人へ
    • 最大のライバルは昨日の自分であり、最大の目標は明日の自分である
    • そのために、今日何ができるかどうかが大事

スクリプト演出の可能性

PBP tO氏の講演
http://www5f.biglobe.ne.jp/~pbp/

  • 演出とは
    • 素材の配置の仕方
    • この仕方が際立っていたり、丁寧だったりすると「演出が凝っている」「演出が巧い」と言われやすい
  • 演出に力を入れたい場合
    • 結局、時間を取るしかない
    • 演出調整の工程をスケジュールに組み込む
  • 具体的に何をするか
    • グラフィックの修正や追加
    • サウンドの加工編集
    • テキストの追加・編集
    • スクリプト側で可能な諸々の演出の追加・修正
  • 各担当との連携を緻密にし、作品のテーマに沿った演出を心がける
  • 各処理の並列化
    • 立ち絵を表示しつつ同時にテキストも表示する等
  • 演出は本当に必要か?
    • 新しい表現形態としての可能性は感じる
    • 最近は丁寧に演出された作品が多いので、競争力という点ではある程度、必要
    • 現状、数字でコストとリターンを考えるとむしろマイナス
    • 時間を割くほど自己満足の領域に近づくので、むしろ同人のほうが向いているかもしれない
  • 会場への質問:ギャルゲをプレイするときに、オートモードでプレイする人はどれくらいいますか?
    • 数名挙手
ディスカッション

オフレコなのか実況推奨なのか良くわからなかったので、興味深かった発言を適当にいくつか。
話していい話なのか否かのさじ加減が分からない。

  • シナリオが必要なジャンルは限られている
  • 同人には、宣伝広報の弱さがある
  • ゲームを完成させるための方法、作業の流れや気をつけていること
    • 〆切を設けること
    • プロットを作ってしまうこと
  • 商業では、いきなりシナリオを書いてこいとは言われない。世界観とキャラクターを書いてくることを求められる
  • 長編は、「この後どうしよう」というところで終わらせて下さい、と編集に言われる
  • いきなり長編を書こうとしなくても良い。先のことは考える必要は無い
  • ただ、その後で整合性のあるよう話を考えるのがライターの仕事
    • 世界観と、そこで何が起こるのかさえしっかり決まっていればなんとかなる
  • ショート・ショートは難しすぎるので絶対に手を出すべきではない
  • 影響を受けたものに対して、自分もこういうものを作りたいというのが同人では多いと思う
    • それを繰り返すうちにオリジナリティが出る
  • 多くの人が、パソコンを通じての娯楽に対してお金をかけなくなっている
    • これは、同人でもよりクオリティの高いものを制作した場合、少なからず影響が出ると思うが?
    • 例えば、ニコニコなど
  • 脅威は、抱き込めば最強の武器となるので、積極的に利用すべき
    • しかし、利用する人が増えていくと埋もれていく。だったら今こそ積極的にそれを利用すべき
  • ノベルゲームは、他のジャンルの実況と違って、見ただけで遊んだ気になってしまう
  • 実況動画のファンは実況者のファンであって、ゲームのファンでは無いのでは?
  • 例えば東方では、音楽は聞くけど実際のシューティングゲームはやらないという人も多くなっている
  • シューティング同様、アドベンチャーは商業では徹底して売れない