GDC09報告会 メモ

4/11 に行われた報告会のメモ

こちら↓に公式の講演内容メモが載っています。
http://d.hatena.ne.jp/darc0113/20090413

GDC 09 今年のトレンド

IGDA関連
  • ボランティアで成り立っているにも関わらず、IGDA Japan の活動実績はIGDA全体でも類をみないほど活発
  • IGDA Japan は、IGDA本体とは独立した活動を開始する(海外の制度設計の遅れのため)
  • それに合わせ、IGDA Japan 独自のメンバーシップを発行(現在 IGDAメンバーシップはIGDA本体の英語のみ)
  • 法人権の獲得をしたい。NPO

ついに日本語でメンバーシップに加入できるときが来るのか。

GDC Mobile
  • 日本にいるとそうでもないように思えるが、外人はほとんどの参加者が iPhone を持っている。しかもなぜかカバーを付けずに剥き身で。
  • モバイル系は iPhone のセッションだらけだった。Google 携帯のグの字もない
  • マーケティング用のツールを提供するデベロッパーも現れた。
Independent Games Festival
  • 独立系開発者やアマチュア,学生達が制作したゲームを評価するイベント
  • 受賞7部門中6つがiPhone。主催がNvidiaなのに(笑
  • World of Goo はインディゲーム作者が儲けるのが難しいと言われている Wii ウェアで成功。2人でつくって15ドルで30万本?
  • 他にも、1人や2人で作って 5ドルで売って大成功、というケースが多い。とにかく今までの常識が通用しない!
  • Wiiウェアなどと異なり、iPhoneは審査がなく出せる
  • 通常は各国でのレーティングが必要だが、iPhone ではその必要はない

そう言われてみれば確かに、卒業旅行で行った多くのゲームショップが中古を全面に押し出した陳列だったな。


毎回言われるけど開発費の高騰は異常。2500万ドル以上の開発費・3〜5年の開発期間が当たり前って。
そんな状況でインディゲームが成功してるの見ると何とも言えない気持ちになるだろうな。
ウチの会社もiPhoneとかに参入しようとしてるんだけど、記事にも書いてあるとおり、社員数を維持できるほどの売り上げは見込めないと思うんだよね。
社員数名の新興企業だからこそ台頭しているんであって。


> 中規模なゲーム市場では、任天堂との厳しい競争がある
なるほど確かに。


それにしても、日本も同人ゲーム市場以外でアマチュアが発表できる場があるといいのに。
日本人はブランド志向強いから、実現は難しいだろうけど。
同人ゲームは市場が小さい上に二次創作メインだからちょっと違うよね。
同人以外にアマチュアが作ったゲームを知る機会が欲しい。

Localization Summit

新規タイトルを作るより気軽にROI(Return Of Investment)を増加できるため、企業にとってゲーム市場のグローバル化は非常に重要。

海外から日本へ
  • クラッシュバンディクーは、日本以外で作られて日本で100万本を越えた唯一のタイトル。
  • 海外企業は日本市場に興味を持ったが、世界で数百〜千万本売れてるタイトルが日本では数万本しか売れないという現実
  • 日本市場に興味を失いかけているが、最近また見直されはじめた?
  • 日本語は、最低でも1500種類は文字が必要。日本で展開したい場合、画面デザイン時からそれらを意識する必要がある。
    • 例えば、認識率を上げるために文字の大きさを大きめに(海外では16×16ドットとかはざら)
  • HP, STR, のように、なんでも略すというわけにはいかない。最初からアイコンにするなどの工夫を。
翻訳作業
  • テキスト管理専門スタッフや、独自のデータベースを用意すべき。
  • 高度な翻訳。例えば、日本でいう泣きシナリオが海外で通じないと判断したら、大胆にシナリオを変更するとか。
難易度調整
  • 国毎に最適な難易度というものがある。
    • 海外では、実績はすぐに解除できないと「詐欺だ!」などど言われる。
まとめ
  • 現実問題として、まだまだ各社が場当たり的にノウハウを積み上げている段階。
おまけ
  • ヘブン状態!のスライドを見せたら「何のゲームかわからないけど良い」と良い反応が(笑
  • 重要なのは、国毎のナスの大きさの違いを知ること
    • これは、音声認識の某お料理ゲームの海外版を出す際の話。データ容量の違いとか記事に書かれてしまったが、全然違う。そういうことではない。


この記事の「こういったカルチャーの違いも踏まえたうえで〜」のところの話か。


GDC におけるゲーム開発者のネットワーキングの実態。

  • Darius Kazemi のGDCガイドを見よう(笑
  • カンファレンスだけがGDCではない
  • 向こうの人をTwitter に登録すると、技術情報とか垂れ流してくれて結構便利
  • ダウンロード市場のおかげで、フリーランサーや独立系デベロッパーが増えている
    • 通信技術の発達で遠距離での協業も可能になった
  • 日本と向こうの学生の温度差は激しい。今後の CEDEC に注目
  • アメリカは、日本以上にコネ社会
    • 誰かを知っている、ということが非常に重要

ラウンドテーブル系セッション

GDC のパン
  • パンの正しい食べ方
    • 鍵はポストプロセス
ラウンドテーブルとは、
  • モデレータとなる人が居て、議題を投げ込みながら皆で題目について話し合う
  • 進行のされ方はラウンドテーブル次第
    • 回数を重ねたテーブルはモデレータの牽引が強い場合が多い
    • 若いテーブルはディスカッション形式が多い
  • リーダー的立場の人の参加が多い印象。○○ディレクターとか○○マネージャーとか。
  • スピーカー(セッションの講演者)の参加率も高い。
  • その分野についての深い知識と経験を持っている人がモデレータ以外に一人はいる。
どんなことが分かるのか。
  • 「その分野について、他の開発者がどう考えていて、今後どちらに行こうとしているのか」
  • 他のチームがどういうことをやっているかの情報を得られる。
  • どんなところでつまずいているのかが分かる(質問内容から)
  • 手の付けやすい類の情報が入りやすい。
  • 自分が悩んでいることがあれば、質問できる。
デメリット
  • まとまった知識は手に入らない。
  • 驚くような手法などは期待しないほうが良い。
  • 望んだ回答が得られるとは限らない。
英語力は必要?
  • 英語で簡単な自己紹介ができれば問題なし。
  • 強制的に会話に参加させられることはない。
  • 英語に強くない参加者もゼロではない。
参加するにあたって
  • 何を知りたいかというイメージを事前に持とう。
  • 出来れば同じテーブルに2回くらい出よう。
  • 勇気を出して聞いてみよう。
Test Tools Potluck
  • テストエンジニアや、QA担当者などが集まるテーブル。ツールなどの情報交換。
  • バグ管理にはどんなツール / 方式を使っているのか。
  • 開発チームとQAチームはどのようにコミュニケーションをしているのか。テスト手法など。
  • Bugzilla・Mantis
    • 使いにくい、カスタマイズが前提
  • DevTrack/DevTest
    • 高い/覚えさせるのが大変。
  • RedMine
  • ゲームの QA だけでなく、開発中のアセットのテストに興味
    • テクスチャ貼り忘れのチェック、モデル組み合わせのめり込みチェック(手動)
  • もっと開発中からQAやろうぜ!ゲームに QA 機能付けようぜ!
    • キーロガービデオキャプチャ、ステートの保存。自動テスト機能との統合。
    • 開発チームとQAチームのコミュニケーションの壁を取り除くのが大事。

AI

概要記事のGDC2009 の内容を踏まえたゲーム AI の作り方を解説。

詳しくは IDGA にて公開されるかと。


グラフィックス関連セッション

各セッションの紹介。

  • Gears Of War2 Chinematics Pipline
    • パイプラインの流し方は、大体日本と変わらない。
      • ハリウッドのようなバックボーンがあるからもっと賢いかと思いきや
    • 先に声録りして、その声に合わせてモーションキャプチャという手法
      • GOW2 ではじめてやりました(キリッ という感じだったが、日本では声優という職業がある関係上当たり前にやられ(ry
  • Self-Limiting Rigging Methology Used GOD OF War
    • 仕様限定でアーティストでも操作可能な RIG 作成環境を構築。
  • アートワークと技術の紐付けが大事
    • コンセプトをどのように技術的に表現するかを「何を使うか」から「どう進めていくか」まで、アーティストが迷わない流れを作る。

3Dゲームグラフィックス最新事情

西川善司の3Dグラフィックスマニアックス」の中の人による各セッション紹介。

こちら↓でプレゼン資料が公開されています。
http://www.z-z-z.jp/BLOG/log/eid296.html

基本的には GDC 関連記事を読めば分かる内容だったので、簡単にURLだけ羅列。

GI(Global Illumination)
  • 半球ライティング
    • 2方向からの環境光
  • キューブマップアレイ
    • 6方向からの環境光
  • 静的なシーンのGIは事前計算
  • テクスチャに出力(ライトマップ)
    • GIテクスチャ
  • 頂点に出力(分離プリライティング)
    • 頂点単位で3方向のライティングを計算
    • 補完されたライティング結果を用いてピクセル単位で合成
Deferred Shading
  • 完成ジオメトリを先にレンダリングしてライティングに必要な中間値を出力
  • 実際の陰影処理を後回しに

理解するのにいっぱいいっぱいであんましメモれてなかった。残念


その他色々
  • Gears Of War II
    • 切断表現は、モデルの時点で事前に人体を分断しておく
    • 血痕シェーダー
  • God Of War III
    • SPU を何に使うか悩むのではなく、とりあえず汎用プロセッサとして使ってみよう
      • SCE の言うとおりにする必要は無い!
    • 登壇者がクレイトスに似すぎ(笑
  • DirectX11
    • 対応GPUいつ出るの?
      • Nvidia「お前先言えよ」
      • ATI「いやお前言えよ」
      • NvidiaATI「いい子で待っててね!」
  • 2年前までは物理表現を使っていれば良かった
  • 最近では物理は当たり前で、破壊の表現などを突き詰めている